バングラデシュニュース

バングラデシュ-近づく後発開発途上国の卒業

国際協力銀行 外国審査部第2ユニット副調査役 浦賢子氏の解説です。

【2018年8月9日付 金融面 日刊工業新聞電子版】より

ここ数十年バングラデシュの経済は安定的に推移し、国内総生産(GDP)成長率は2008年のリーマン・ショック時も含め5―7%と高い水準を維持しているところ、いよいよバングラデシュの後発開発途上国卒業が近づいている。

後発開発途上国とは、国連開発計画委員会が認定した途上国の中でも特に開発が遅れている低所得国である。

3年ごとにリストの見直しが行われ、(1)1人当たり国民総所得(GNI)、(2)成人識字率などを指数化した人的資源指数、(3)経済や環境の構造的脆弱(ぜいじゃく)性を測る経済的脆弱性指数の3項目全てにおいて一定の基準を下回った場合、リスト入りとなる。

卒業条件はレビュー時に、(1)から(3)のうち二つの項目において、リスト入りした時点の基準値よりも高く設定された目標値を上回ることである。

この状態が2レビュー連続すると卒業が確定し、さらに3年の準備期間を経て正式に卒業となる。

バングラデシュは、75年にリスト入りした。経済成長が続く中、国民の所得水準が改善し、今年3月のレビュー時に初めて(1)と(2)が卒業基準を超えた。

GNIはGDPに海外からの所得の純受け取りを加えたものであり、また、人的資源は経済成長と相関が高いことから、3年後のレビュー時に基準値を満たすには、今後GDPが伸び続けるかが焦点である。

GDPの産業による構成をみると、天候などの外的要因を受けやすい農業が占める割合は低下している一方、アパレルを中心とする製造業やサービス業などの割合が上がった。産業の多角化が進み、経済的ショックに対する耐性が高まりつつあることがうかがえる。

また、人口1億6000万人と東南アジア諸国連合(ASEAN)随一の巨大市場を有し、近年は個人消費が最もGDPに寄与しており、今後も生産年齢人口の増加が見込まれ、消費・生産の両面で成長余地が大きい。

ただ、より安定した成長を持続するには、脆弱な電力や交通インフラの整備、金融システムの強化が課題となろう。

世界銀行が発表するビジネス環境の現状ランキングは、13年の130位から14年以降は170位台と悪化している。政府は、民間セクターによる投資環境の整備を優先事項としており、上記の課題解決が望まれる。

国際通貨基金(IMF)によると、18年以降も7%台の経済成長が続くと見込まれておりこの水準での成長が続けば、21年のレビュー時にも二つの卒業基準を満たすことが期待される。

バングラデシュの後発開発途上国卒業に向けたカウントダウンは始まっている。